クリムゾンの迷宮

かなり久々に小説を読んだ…
友達から、オススメだと借りたものである。
それが、

である。


この作者、映画「黒い家」の原作をしておられたそうで。
名前聞いた時は、わからなかったけど
実は「ISOLA」を読んでたなぁ〜、と後々発覚w
ISOLAは結構好きだったので、
小説も漫画も読んだ事がある。


まぁ、知った作者だというのもあり
気軽に読み始めたこの「クリムゾンの迷宮」
簡単に、どんな話かというと
映画「CUBE」に似ている。
いきなり「火星」と、言われるわけの分からない場所に連れて来られた主人公。
いつのまにか持たされていた、ポケットゲームの電源を入れるとそこには
「火星の迷宮にようこそ」
の文字。
あまりにも混乱している主人公が、すがりつくこのゲームの内容。
実は、この「火星」を舞台にゲーム機が指示するとおりにゲームをしろ、という内容であった。
参加者は全員で9人。
一体これがどんなゲームなのか…
何の目的で、なぜ私たちが…
全ては謎に包まれたまま、参加者はゲームに翻弄される。
意味もわからず…参加者は、存在さえ知らない
ゲームの主催者に思うがままに踊らされていく。
しかし、このゲームの真の目的は
誰もが想像を絶するものであった。
この、ゼロサムゲームに勝ち残る…生き残るプレイヤーは、一体誰なのか…
そして、この意味もわからない「火星」から、脱出は出来るのか?!


とまぁ、こんな内容ですねw
正直な感想を言うと、
かなり面白かった…w
というか、アタシはコレ好き。
人間の欲・心理・精神の限界・駆け引き…
人間が持つ黒い面をゲームという、擬似体験で全て引き出してしまう。
かなり現実味のある内容で、次の展開がもう待ち遠しくて…w
というか、この作者
次のページにつなぐ一文がうまい…。
もの凄くイイところで、見開き2ページが終わるのであるw
正直、これはほとんどノンストップで読んだw
あと、背景の描き方がうまい。
思い切り説明的になりすぎず、あいまいすぎず、ほのかに想像を掻き立てるくらいの描写になっている。
こうされると、読んでる側としては自分なりにどんどん世界を想像させられ、それはどんどん膨らんでいってしまう。
だいたい小説が面白くなくなってくるのは大抵、背景描写がつまらないのが多いと思う。
だらだらと書き連ねたあげく、内容が全然進まない…となると、やはり萎えるw
貴志氏は、その背景描写がうまい。まるで、飽きるタイミングを知っているかのようだ。


うまいといえば、人間の心理描写と、オリジナリティ溢れるストーリー展開と、もの凄い情報量である。
この貴志氏…どれだけの知識を持っているのだろうか…。
アタシが高校生の時、サバイバルが好きな先生がいて、色々教えてくれた。
その内容はもちろんの事、それ以上にとんでもないサバイバル知識がこの本に含まれている。
サバイバルをする際には、是非この本を持っていっていただきたいくらいだwww
人間の心理描写としては、恐ろしく精神的に参ってしまうかもしれない…(たぶん、この本はまだマシな方だと思うけど)
それに、この小説に出てくる主人公や取り巻きは、
失業者だったり、売れない漫画家だったり…
世間一般でいう、光を浴びてない人たちで構成されている。
そのうえ、異常とも思える心理的な駆け引きがすごい…。


この辺から、ネタばれになる恐れがあるので注意…w
オリジナリティ溢れるという理由…それは、
こういった内容の話では、タブーである、
「ガイドブック」が主人公の手に渡る!ということ。
正直、これにはびっくりした…。
まさか、そこまで出すとは…
しかし、このガイドブックの存在こそが、この小説の一番のキーアイテムだったりする。
ガイドブックあってこそのEDというのだろうか…。
最後は、主人公と同じ気持ち…もの足りないというか…ここで終わってしまうのか…という気分になるが、
アタシとしては、これが一番の最良な終焉だったと思った。
あの最後だからこそ、この小説の不気味さ(?)が感じられるわけで…。
あとこの小説、ちょっとしたラブストーリーっぽいのもあるのでw
ただ、某映画のヒロインのセリフであったように
「危険の中で芽生えた恋愛は、絶対に幸せになれない」
というもので…
やはり、切ないものがある…。


語りたいといえば、まだまだ語りたいけれど
いつものセリフ
まぁ、読んでみてくださいwww
全然、小説だからといって、怪訝にするような小難しい内容でもないので
比較的安易に読み終えるはず♪
ただ、人間不信にならないでくださいねw
この小説進めてくれた方、ありがとう☆